新作RPG「LAPLACE LINK」や、三国志をモチーフにしたカードバトルゲーム「大戦乱!!三国志バトル」など、ブラウザゲームを中心に絶大な支持を集めるソーシャルゲーム開発・運営会社「gloops(グループス)」。累計 4000 万ユーザーという実績は、掛け値なしの業界トップクラスです。そんな同社が、この春から、ユーザー行動の解析に Google BigQuery を開始。その理由を聞いてきました。



■ 写真左から
  • ソーシャルゲーム事業本部 システム統括部 インフラグループ インフラエンジニア 河村喬樹さん
  • ソーシャルゲーム事業本部 データマイニング部 アナリシスグループ マネジャー 清水朋紀さん
  • ソーシャルゲーム事業本部 システム統括部 インフラグループ インフラエンジニア 津野哲平さん
  • ソーシャルゲーム事業本部 技術基盤部 エンジニア 三森孝嘉さん

■ 利用中の Google Cloud Platformサービス









「ゲームにはそれぞれ開発者が想定した遊び方があるのですが、実際にお客様がそのようにプレイしてくださるとは限りません。実際には我々が感じてほしい楽しさに至る前にやめてしまうお客様がかなり多くいらっしゃいます。それは双方にとってとても残念なことですよね。ソーシャルゲーム運営では、ログを解析することでお客様の行動を分析、より多くのお客様が楽しんでいただけるよう、細かく軌道修正していく必要があります」



そう語ってくれたのは、gloops ソーシャルゲーム事業本部 データマイニング部でデータ分析チームを統括するマネジャー・清水朋紀さん。ソーシャルゲームは作って終わりなのではなく、リリース後のチューニングこそが大切なのだそうです。


実はこれまで同社はこれら行動データの蓄積と解析を既存大手サービスの DMP を利用して行なっていました。しかし、ユーザー規模が大きくなるにつれ、この費用が無視できないほど莫大な金額に。契約の更新時期が近付くと、このまま契約を続けるべきか、他のプラットフォームに乗り換えるべきか悩まれていたそうです。このあたりについて、同社ソーシャルゲーム事業本部 システム統括部 インフラグループのリーダー的存在である河村喬樹さんは次のようにふり返ります。


「なにせデータ量が膨大なものでしたから、そこにかかる費用も膨大なものになっていました。最近は、少しでもコストダウンするために、いらないデータ、あまり使わないデータを削除してから DMP に送るというような運用を行なっていたくらい。でも、それも焼け石に水みたいな状況で……。そんな中、ここ数年、Google BigQuery の評判を耳にすることが多く、ちょうど契約切り替えのタイミングが迫っていたということもあって、Google さんへの移行を決心しました」

結論を先に言うと、この移行によって、それまでかかっていたコストが何と100 分の 1 程度に激減したそうです。コストが削減できることはわかっていたものの、ここまで安くなるとは考えていなかったと驚く河村さん。「この先、クエリーをどんどん回していくともう少し費用アップしていくことになるとは思うのですが、それでも圧倒的に安いですよね」

「利用する側としては、今までと仕組みが変わってしまうことがめちゃくちゃ不安だったのですが(笑)、社内エンジニアたちの努力によって、ほぼこれまで通りの利用環境を再現することができました。価格以外の恩恵としては、動作速度が劇的に向上したおかげで、結果の戻りが異常に速く、これまで 20 分くらいかかっていた処理が数秒で終わってしまうのには感激しました。特に夜間バッチが失敗したときの心理的負担は大幅に減りましたね。これまでは『これで午前中が何もできずに潰れてしまうなぁ』とガックリしていたのですが、BigQuery なら比較的すぐにリトライできますから。今後は、こういった強力なマシンパワーなどを前提とした新しいことにも取り組んでいきたいと考えています」(清水さん)



「エンジニアチームとしても、コスト減やマシンパワー増を受けて、新しいことをやってみようという動きが出てきています。例えば、今、ユーザーのアクセスログについてはリアルタイム可視化システムをオンプレミスのサーバーを使って構築しているのですが、ストレージの管理が手間なので、これをクラウドに全面移行しよう、といった具合ですね。、安価なクラウドストレージを使えれば、もっと長く残せるようになりますし、それによってより、サービス品質を向上させることができます」(河村さん)

なお、従来 DMP から Google BigQuery への移行も、想定以上にスムーズだったそう。このあたりについては、実際の移行業務を担当した2人のエンジニアが次のようにふり返っています。

●ソーシャルゲーム事業本部 技術基盤部 エンジニア 三森孝嘉さん
「私はデータマイニングで使っているログの送り先を従来 DMP から BigQuery に変えるための仕組みを担当しています。双方でデータの持ち方が異なるため、その調整に若干手間取りましたが、それ以外は順調でした。清水が言ったように CPU パワーがあるので、そこを乗り越えてしまえば後はむしろ楽に。特に大きなトラブルもなく、私 1 人での作業でしたが、およそ半月程度で無事完了しています」

●ソーシャルゲーム事業本部 システム統括部 インフラグループ インフラエンジニア 津野哲平さん

「私は移行元の DMP に保存されているデータを BigQuery に移植するという作業を行ないました。圧縮で約 180 GBという膨大なデータだったので、移行元から一番大きなテーブルを4GB以内ずつに圧縮して切り出すのに、1回につき 2 時間もかかってしまうほどだったのですが、それを BigQuery に入れる作業は約 10 分程度で完了。さて、休憩しようかなと思ったらもう終わっていて拍子抜けしてしまったほどです(笑)」




まさにこの春からスタートしたということで、現在はその可能性を手探りしている段階だという gloops エンジニア陣。

「個人的に今、ホットトピックなのがリアルタイム同期型データベース『Google Firebase』。まだ試し始めたばかりなのでどこまで使えるものなのかわからないのですがかなり期待しています。良い結果が出たら積極的に採用していきたいですね。今回、BigQueryの導入によって、BigQueryをより深堀りしていくのはもちろん、その他のGoogleさんのプラットフォームを使ってみようかという気運が高まっています。まだ具体的なことは言えないのですが、今後、グループスとしての利用頻度は間違いなく高まっていくはずです」(三森さん)

「私はちょうど今、監視システムをリプレイスしている最中と言うこともあり、『Google Stackdriver』が気になっています。Google Cloud Platform と Amazon Web Service を併用している場合でも使えるのが素晴らしいですね。これにオンプレミスのものも加えられるようになれば文句なしです。サポートからはできなくもないという回答をいただけているので、これから少し検証してみようと思っています」(津野さん)

「Google さんのサービスでは Google App Engine に注目しています。弊社は基本的に Windows のソリューションを使っているので、このあたりのハードルが下がっていくといいな、と。開発言語を変えるのはさすがに難しいので、C# や .NET など、我々が現在使っている開発環境が動かせるようになるのが理想ですね」(河村さん)